Kansai Piano Competition Repertoire
前回紹介した関西の主要コンクールの課題曲を比較すると、
いくつかのはっきりした傾向が見えてきました。
コンクールと一言でいっても、課題曲の考え方はコンクールごとにまるで違います。「好きな曲で自由に挑戦できる」ものもあれば、「バロックの様式を学ばせたい」という明確な意図を持つものもあります。
前回の記事で紹介した関西の主要コンクール(けいはんな音楽コンクール、ピティナ・ピアノコンペティション、日本バッハコンクール、PIARA国際ピアノコンクール)の課題曲を比較すると、いくつかのはっきりした傾向が見えてきます。
1. バロック回帰という共通の軸
近年のコンクールには「バロック・ポリフォニーをきちんと学んでほしい」という意図がはっきり表れています。日本バッハコンクールは名前の通りバッハ作品中心の課題曲で構成され、PIARA国際ピアノコンクールもバッハ部門を独立させています。
今年最終回を迎える兵庫県学生ピアノコンクールも、本選課題曲にJ.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集」からの選択を課し、バロック・古典期の作品に挑戦した参加者を評価する「バロック・古典賞」という独自の賞を設けていました。地域密着型のコンクールでもこの傾向が根付いていたことが分かります。
単に「弾ける曲を弾く」段階から、「様式を学ぶ」段階への移行を促す設計思想が、規模の大小を問わず共通しているようです。
2. 「自由曲」と「課題曲」の二極化
けいはんな音楽コンクールは予選・本選ともに完全自由曲制で、時代様式の縛りがありません。今練習している曲、得意な曲でそのまま挑戦できる気軽さが特徴です。
一方でピティナ・ピアノコンペティションや日本バッハコンクールは、級・部門ごとに詳細な課題曲リストが用意されており、その中から選ぶ形式です。PIARA国際ピアノコンクールに至っては、バロック部門・クラシック部門・ロマン派部門・近現代部門というように、時代様式そのものが部門分けの軸になっています。
初めてコンクールに挑戦するなら自由曲制の方がハードルは低く、逆に音楽的な幅を広げたいなら課題曲制のコンクールの方が学びは大きい、という向き不向きがあります。
3. 時代様式のバランス教育という思想
ピティナやPIARAに共通するのは、「バロック・古典・ロマン・近現代」という時代区分を意識させる設計です。単発の腕試しというより、年間を通じた学習カリキュラムの一部としてコンクールを位置づけている印象があります。
ピティナでは過去の課題曲から「再選」されるケースも一定数あり、時代ごとの選曲戦略が結果を左右する要素になっているようです。
課題曲の有無と傾向を、5つのコンクールで一覧比較しました。
| コンクール | 課題曲の有無 | 傾向 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| けいはんな音楽コンクール | なし(完全自由曲制) | 自由 | 予選・本選とも同一の自由曲、気軽に挑戦しやすい |
| 兵庫県学生ピアノコンクール(参考・終了) | あり | バロック・古典重視 | 本選はバッハ「平均律クラヴィーア曲集」から選択 |
| PIARA国際ピアノコンクール | 部門により両方 | バランス型 | プリティ・ジュニア・シニアA部門のみ課題曲あり、時代様式別の部門構成 |
| ピティナ・ピアノコンペティション | あり(級ごとに詳細指定) | バランス型 | バロック/古典/ロマン/近現代の4時代から選ぶ設計 |
| 日本バッハコンクール | あり(バッハ中心) | バロック特化 | 導入期以外はバッハ作品中心、ポリフォニーの学習が主眼 |
※部門名・課題曲の詳細は年度により変更される場合があります。
課題曲の傾向を知っておくと、「このコンクールは何を評価したいのか」という設計思想が見えてきます。
お子さんの得意なスタイルや、これから伸ばしたい力に合わせて、コンクール選びの参考にしてみてください。
ご注意
課題曲の詳細は年度によって変更されます。最新情報は必ず各コンクールの公式サイトでご確認ください。
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